奄美大島の自然

2022年6月26日(日)~28日(火)  奄美大島の生物調査Ⅱ奄美大島笠利町蒲生崎

6月28日(火) アマミカラスアゲハ ♀ 蒲生崎の遊歩道をゆっくりと飛んでいました。産卵しているようです。後翅の赤い紋が異常に発達していてとても綺麗です。

6月26日(日) アマミウラナミシジミ ♂ 蒲生崎ではいたるところで発生してテリトリーを張っています。美しいルリウラナミシジミと間違いやすいですが、翅のメタリックブルーの輝きの違いで見分けがつきます。

6月26日(日) キオビエダシャク ♂ 濃いメタリックブルーに黄色の帯が美しい南方系のシャクガの一種です。見かけは美しいですがマキの木の害虫で駆除の対象になっています。夕暮れ近くになると蛾とは思えない猛スピードで飛び回って、小型のタテハチョウと見間違えます。

6月26日(日) アオスジアゲハの雄と雌との求愛行動 南方系のアオスジアゲハのブルーの帯は本土産よりも鮮やかな感じがします。

6月27日(月) アカボシゴマダラ ♂ 蒲生崎先端の展望台の周辺の高い場所を滑空しながら飛び廻ります。本種を狙って数名のチョウ屋さんが長竿を振り回し空中戦をしています。私もその一人でネットインした記念すべき1頭(上写真)です。後翅の赤い紋が誇らしげに見えます。アカボシゴマダラは奄美諸島にしか生息しない固有種です。大陸と陸続きであったことの生き証人でもあります。

須野ダム

6月26日(日) リュウキュウキノボリトカゲ 準絶滅危惧種 須野ダム遊歩道で歩いていました。全長20㎝程度の緑色の蜥蜴ですが頭部をアップしてみると恐竜のように見えます。

6月26日(日) カラスヒバァ(幼蛇) 須野ダムの側溝に50㎝くらいの蛇が動いています。ヤマカガシかと思いましたが、奄美には生息しないようで、カラスヒバァの幼蛇だと後でわかりました。名前の通り大人になるとカラスのように真っ黒になり200㎝の大きな個体も見られます。

6月26日(日)ジャコウアゲハ ♀ 産卵しているようでゆっくりと飛んでいました。

6月28日(月)名前不明の蛾です。

赤崎公園

6月27日(月)フタオチョウ ♂   日本では沖縄本島にしか生息しない希少種で保護され、沖縄県では採集禁止になっています。その貴重な蝶が数年前から奄美大島で定着しかなりの数が発生しています。誰かが沖縄の個体を奄美大島で放蝶したのではと言われていますが確かなことは不明です。従って奄美大島(鹿児島県)での採集は容認されています。しかし高所を猛スピードで飛び廻るので捕獲は困難です。6名程の採集者が長竿を構えていました。写真はネットインされた美しいフタオチョウの♂です。

6月27日(月)フタオチョウ ♂   写真は赤﨑公園の展望台の周りでテリトリー(占有行動)を張っているオスです。

6月27日(月)パイナップルトラップに引き寄せられたリュウキュウノコギリクワガタ♂ 

6月27日(月)パイナップルトラップに引き寄せられたリュウキュウツヤハナムグリ 

6月27日(月)パイナップルトラップに引き寄せられたリュウキュウヒメジャノメ 

6月27日(月)赤崎公園のトイレの壁に貼り付いていた蛾

奄美大島知名瀬金作原原生林

6月27日(月)ヒカゲヘゴが繁茂する金作原原生林 アマミノクロウサギやルリカケスなど特別天然記念物が生息する奄美の代表的なジャングル。昆虫などの希少種の宝庫でもあります。けれどジャングルの中にはハブも生息していることを想うと勇気がいります。

6月27日(月)スジブトクワガタ ♂ 奄美大島だけに生息する特産種のクワガタ。この他にアマミミヤマクワガタ、アマミシカクワガタ、アマミマルバネクワガタも生息していますが、こちらは採集禁止です。そのためこれらを匂いで集めて採集するトラップを仕掛けることも禁止されています。

6月27日(月)クロイワニイニイ ♂  本土に生息するニイニイゼミの奄美大島置換型です。翅に緑色が入っているのが特徴です。

6月27日(月)バナナの花

奄美大島龍郷町赤尾木湾(奄美クレーター)

6月28日(火)龍郷町赤尾木の集落から笠木町へ向かう海岸沿いの県道を車で向かうと左へ丸く緩やかにカーブしていることがよく分かります。これは下の説明図のように隕石が落ちた後の丸いクレーター海水が入って赤尾木湾になっていることが分かっています。奄美クレーターとも呼ばれています。

6月28日(火)パイナップルの実によく似たアダンの実 沖縄・八重山ではこの実が大好物のヤシガニが見られます。奄美大島では、ヤシガニは生息していませんが、大型のオカヤドカリを見ることが出来ました。」

6月28日(火)アダンの近くいたオカヤドカリ、巻貝の殻を借りて生息するヤドカリの仲間です。10㎝くらいの大きさでした。

6月28日(火)名瀬の船着き場で発見した奇妙な多足類 大きさ10㎝くらいのムカデのようでした。ウミケムシにもにていますが果たして?

 

 43年振りの奄美大島の調査です。蝶友のK氏に同行してもらい2泊3日の旅でした。私の奄美大島の思い出は、道路(主要道路は除いて)が舗装されていなくて地面がむき出しでところどころに水溜りがあって、その中にゲンゴロウなどの多くの水棲昆虫が泳いでいたこと。そして蛇が多い島だな、という印象でした。しかしこれら43年前の光景は幻のように変わっていました。それでも森の中に入ると常緑樹の鬱蒼とした濃い緑の自然は変わっていませんでした。目標は珍蝶のイワカワシジミと最近土着していると聞くフタオチョウです。イワカワシジミを始めこの時期ならではの奄美大島の蝶を多数、確認しました。しかしフタオチョウは時期的に遅いようで出会うことは叶いませんでした。

2021年11月2日(火)~4日(木) 奄美大島の生物調査

11月2日 北部の東海岸より奄美大島の景勝地「あやまる岬」を望む。

11月2日 シリケンイモリ 鹿児島県準絶滅危惧種(奄美大島笠利町須野)北部の森林に通る用水路の中で見つけました。沖縄や奄美にだけ生息する希少種なので、見るのは難しいと思っていたのですが、初日すぐに観察できました。

11月2日 イワカワシジミ♀ (奄美大島笠利町蒲生崎)今回の奄美行の最大の目的は本種の観察です。イワカワシジミは南西諸島にだけに生息する蝶屋さん憧れの蝶です。幼虫はクチナシの実の中に入り込んでその果実をたべるので、クチナシの木を丹念に調べると出てきます。蒲生崎で初めて撮った記念すべき一枚です。

11月4日 イワカワシジミ♀ (奄美大島笠利町須野)ネットインしたイワカワシジミのメスと標本写真(右下)です。翅の浦は薄いグリーン、表の後翅は黒地に白い紋が見られます。この白い紋が奄美・沖縄・八重山諸島と違いがあってそれぞれ亜種になっています。

11月2日 クチナシの木と穴の開いた果実(右下) イワカワシジミの植樹です。幼虫や蛹は、穴の開いた果実の中にいて、この穴を目標に探します。(奄美大島笠利町蒲生崎)

11月3日 リュウキュウアサギマダラ(奄美大島笠利町蒲生崎)本種もリュウキュウの名前を付した一種です。アメリカセンダングサで吸蜜しています。冬には森の中の樹木にびっしり固まって群生していることで有名です。

11月2日 リュウキュウヒメジャノメ(奄美大島笠利町須野)奄美や沖縄にはリュウキュウの名前が付いた生物が多くいます。本種もその一つで

日本本土に生息しているヒメジャノメに比べて地色が濃く白い帯が太いのが特徴です。

11月2日 リュウキュウミスジ(奄美大島笠利町須野)本種もリュウキュウの名の付く一つ、本土のコミスジより少し大型です。

11月3日 アオタテハモドキ♂(上)♀(下)(奄美大島名瀬市)オスの方が綺麗で、メスの方が地味な翅を持った代表のような南国のチョウです。ミカン畑で撮影しました、

11月3日 リュウキュウムラサキ♂(奄美大島名瀬市)以前は迷蝶として扱われていた本種も奄美では土着しているようです。宗像市の筑前大島で観察された本種は迷蝶でしょう。

11月3日 ヤエヤマネコノチチの葉上に止まっていたカメムシ(種名は不明)(奄美大島名瀬市)最近奄美大島で観察されているフタオチョウの幼虫を探そうと食樹のヤエヤマネコノチチで見つけましたが名前は不明です。肝心の幼虫は探し出せませんでした。

11月3日 ツマムラサキマダラ♂(奄美大島名瀬市)本種は、今から20年ほど前沖縄で大発生しそれが奄美にも侵入し生息している蝶です。南国独特の輝く濃紺と白の目立つ蝶で、毒蝶であることをアピールしているのかもしれません。一時は大量に見られた本種も、今では時々姿を現す程度になりました。

11月3日 パパイヤの果実(奄美大島笠利町蒲生崎)

11月3日 柑橘類に産卵しているナガサキアゲハ♀(奄美大島笠利町蒲生崎)露出不足でピンボケになってしまいました。

11月3日 クロマダラソテツシジミ♂(奄美大島笠利町須野)奄美大島はソテツの島です。どこにいってもソテツが見られます。それを食草とする本種の群生している様子は、新しい奄美の代表的な風景です。

11月3日 リュウキュウアブラゼミ(奄美大島笠利町須野)これもリュウキュウの名前を付したゼミです。本土のアブラゼミとは鳴き声が違っています。

11月3日 リュウキュウヤマバト(奄美大島笠利町蒲生崎)

11月3日 朝焼けに染まる名瀬の港(奄美大島名瀬市)早朝起きてみたら朝焼けが美しかったので宿泊したホテルの窓から写した一枚です。