対馬の自然

これまで、行きたい行きたいと思いながら出来なった対馬へ、ついに行くことが出来ました。対馬は朝鮮半島と九州の中間に位置し、それぞれと共通した種類の動植物が確認されています。また、対馬固有で進化した亜種も記録されています。さらに地層や岩石など地学的に興味深い地形・地質を観察できます。蝶友のS氏の案内で楽しい調査行になりました。

4月4日(月)朝焼けに光る対馬の島々 深夜0時10分発のフェリーに乗り、朝5時ころに到着。厳原港まで迎えにきてくれたS氏の車で撮影した一枚です。

4月4日(月)対州層群と不整合の関係で重なる石英斑岩 厳原港近くの露頭で見かけました。石英斑岩は溶岩起源の白っぽい岩石です。石英斑岩を土産(標本に)と思い拾ってみると風化が進んでおり陶石(陶磁器の原料になる石)のようです。実際に厳原高校の近くに陶石にするための砕石場があるそうです。 

4月4日(月) 溺れ谷地形(多島海)一日目にキャンプをした烏帽子岳から浅茅湾を見下ろすと、大小様々な大きさの島を数多く見ることが出来ます。典型的な溺れ谷地形です。海面上昇で多くの島が作られるので多島海とも呼ばれます。

4月4日(月)ゲンカイツツジ 対馬市の花です。山の中では一番目立って綺麗です。こんなに早くツツジが見れるとはラッキーです。

4月4日(月) ハリギリに巣を作っていたキバネセセリの幼虫(白い枠内)とキバネセセリの標本写真(右下)

 厳原港から北上すると、道の側にハリギリの大木がありました。鮮やかな新緑色で良く目につきます。S氏が7mもある剪定鋏で枝を切り、特徴的な葉を見せてくれると、セセリ特有の巣(葉が折れ曲がった)が見えました。中には1齢くらいの幼虫が入っています。キバネセセリの幼虫です。九州では希少種ですが、対馬ではよく見られるとのことです。

4月4日(月) アカガシの芽に産みつけられたキリシマミドリシジミの卵(白い枠内)と成虫 ♀ の標本写真(右下) 対馬のキリシマミドリシジミの♀は右下の標本写真のようにブルーの紋が大きく現れ「スーパーB」と呼ばれ珍重されているそうです。ただし成虫を採集することは難しく冬季の卵採集して飼育することが一番とのこと。ただしアカガシの芽に付いた卵を探すのがまた大変です。

4月5日(火)カエデの葉に付いたミスジチョウの幼虫(白い枠)と標本写真 ミスジチョウの幼虫はカエデが食草で巣をつくります。カエデの枯葉から巣を見つけ出す方法をS氏に聞きました。見つけた巣の中の幼虫は平面で囲まれたような奇妙な形でした。対馬のミスジチョウは九州産(阿蘇・九重)よりも一回り小型ということです。 

4月4日(月) 対州層中の粘板岩:プレート(上写真)とそれを屋根瓦に用いた民家(下写真) 車で移動中、川の横岸に対州層の見事な地層を発見しました(写真上)。観察すると暑さ10cmくらいの頁岩(本のページのように剥がれやすい)がさらに圧力で硬くなった粘板岩(スレート)のようです。対馬ではこのスレートを倉庫の屋根瓦に使っており、見かけました(写真下)。福津市の宮地嶽神社にも、対馬からスレートを使った立床式倉庫を移設してあります。

4月6日(月)シジュウカラ 豆酘﨑の灯台周辺で飛び回っていました。首から黒いネクタイ模様がシジュウカラの特徴です。 

4月4日(月) 烏帽子岳公園から見た夕陽 美しい橙から青のグラデーションの西空に三日月(4日目の月?)が見えます。

4月5日(火)2日目のキャンプ地の雉地ダムから望む霊峰「白岳」

標高518mの山頂(2つの峰)は白く輝く巨岩(石英斑岩)で出来ており古くから霊山として崇められてきました。地質学的に「対馬」は対州層群と石英斑岩で成り立った島です。これは、福岡の世界遺産「沖ノ島」の地質と同じであることは、大変興味深いことで、いろいろなことが想像されます。まさに対馬は地質・地形の宝庫と言えます。 

4月6日(水)フェリーから望む博多ポートタワーと博多港の夜景